《用語解説》若手社員の思わぬ出費と事業承継

注意:この物語はフィクションであり、架空の設定・登場人物・シチュエーションを使用しています。ハンズバリュー株式会社の経営支援のスタイルや考え方を分かりやすく伝えるためにショートストーリー形式で表現しています。

登場人物

津名久はなこ
新入社員。元気いっぱいだが、レポートの締切をギリギリまで忘れがち。
勝瀬秀子
先輩社員。経営戦略に詳しい期待の若手経営コンサルタント。お酒が好き。
社長
津名久はなこたちが所属する会社の経営者。レポートの出来栄えに厳しい。

金曜日、終業間際の悲劇

金曜日の17時30分。オフィスには帰り支度を始める社員たちの気配が漂っている。しかし、津名久はなこの顔色はどんどん青くなっていた。

「月曜提出の事業承継レポート…全然手をつけてない…!」

頭を抱えるはなこ。ふと横を見ると、先輩の勝瀬秀子が鼻歌まじりにパソコンをシャットダウンしているところだった。

はなこ
秀子さん!!お願いがあるんです!!事業承継について教えてください!!月曜までにレポートを出さないといけなくて…!

秀子
あら、また締切ギリギリ?いいわよ、教えてあげる。ただし条件があるわ

はなこ
何でもします!!

秀子
前から気になっていたイタリアンがあるの。今夜、そこで食べながら教えてあげるわ。もちろん、はなこちゃんの奢りでね

はなこ
…!わ、わかりました!お願いします!

こうして二人は、駅前のイタリアンレストランへと向かった。

事業承継の3つの方法

前菜のカプレーゼをつまみながら、秀子のレクチャーが始まった。

秀子
事業承継には、大きく分けて3つの方法があるの。1つ目は親族内承継。つまり、家族や親戚に事業を引き継ぐ方法ね

はなこ
息子さんや娘さんが継ぐパターンですね!よく聞きます

秀子
そうね。でも最近は後継者不足で、家族に継ぐ人がいないケースが増えているの。そこで2つ目が従業員承継。信頼できる従業員に経営を任せる方法よ

はなこ
事業のことをよく知っている人に任せられるのは安心ですね

秀子
ただし、従業員承継には株式の買い取り資金をどう工面するか、という課題があるわ。それから3つ目がM&A。第三者に会社を売却する方法ね

はなこ
前にヒデコさん…じゃなかった秀子さんに教えてもらったやつですね!会社の売り買い!

秀子
そうよ。M&Aは「身内にも従業員にも後継者がいない」という場合の選択肢として、近年注目されているの。事業を存続させることで、従業員の雇用も守れるわ

個人事業主と法人の違い

メインのパスタが運ばれてきた。秀子は赤ワインのグラスを傾けながら、話を続けた。

はなこ
ところで秀子さん、個人事業主の場合はどうなるんですか?法人と違いはありますか?

秀子
いい質問ね。個人事業主の場合は株式がないから、事業用の資産(設備、在庫、取引先との契約など)を個別に引き継ぐ形になるの。法人のように「株を渡せば会社丸ごと承継」というわけにはいかないのよ

はなこ
それは大変そう…。一つ一つ手続きが必要なんですね

秀子
そうなの。だから個人事業主で事業承継を考える場合は、法人化してから承継するという選択肢もあるわ。それから、国や自治体の支援制度も活用できるのよ

はなこ
支援制度?

秀子
事業承継・引継ぎ支援センターという公的機関があって、後継者探しのマッチング支援や、事業承継に関する相談を無料で受けられるの。事業承継税制という税制優遇もあるわ。私たち経営コンサルタントとしても、こういった制度をお客様に提案する機会が増えているのよ

はなこ
すごい!勉強になります!秀子さん、今日は本当にありがとうございます!

ワイン3本と恐怖の会計

話に熱が入り、気がつけばテーブルにはワインボトルが3本空いていた。

秀子
あら、もうこんな時間。ワインも空いちゃったわね。はなこちゃん、今日は勉強になったでしょう?

はなこ
はい!バッチリです!…あ、すみません、お会計お願いします

店員から伝票を受け取ったはなこの顔が、みるみる青ざめていった。

「…に、2万8千円…!?」

ワイン3本分の破壊力である。はなこの財布が事業承継ならぬ「財布承継」の危機を迎えていた。

秀子
…ふふ、顔色が悪いわよ。今日は割り勘でいいわ。レポート頑張りなさいね

はなこ
秀子さん…!ありがとうございます…!!(涙)

月曜日 ── レポート提出

週明けの月曜日。はなこは朝一番で社長のデスクに向かった。

はなこ
社長!事業承継についてのレポートです。よろしくお願いします!

社長
ほう、見せてもらおうか

社長はレポートに目を通した。親族内承継・従業員承継・M&Aの3つの方法が分かりやすく整理されており、個人事業主と法人の違い、支援制度についても触れられていた。

社長
よくまとまっているね。特に支援制度のところは実務に直結する。お客様への提案にも使えそうだ

はなこ
ありがとうございます!秀子さんに教えていただきました!

社長
勝瀬さんか。いい先輩を持ったね。これからもしっかり勉強を続けなさい

はなこは嬉しそうに自席に戻った。レポートは無事に提出できた。財布は軽くなったが、知識は確実に増えている。
——次こそは、締切に余裕を持とう。はなこは固く心に誓った(が、守れるかどうかは別の話である)。


まとめ:事業承継の3つの方法

中小企業の事業承継には、主に3つの選択肢があります。
それぞれにメリット・課題があり、状況に応じた選択が重要です。

1

親族内承継

家族や親戚に事業を引き継ぐ方法。従来最も一般的でしたが、近年は後継者不足で選択できないケースが増えています。

2

従業員承継

信頼できる従業員に経営を任せる方法。事業をよく理解している人材に任せられる反面、株式買い取り資金の確保が課題になります。

3

M&A(第三者承継)

第三者に会社を売却する方法。身内にも従業員にも後継者がいない場合の選択肢として注目されています。従業員の雇用を守ることもできます。

個人事業主の場合は株式がないため、事業用資産を個別に引き継ぐ形になります。事業承継・引継ぎ支援センターや事業承継税制などの公的支援も活用できます。

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