株式会社の事業承継と遅めのランチ

注意:この物語はフィクションであり、架空の設定・登場人物・シチュエーションを使用しています。ハンズバリュー株式会社の経営支援のスタイルや考え方を分かりやすく伝えるためにショートストーリー形式で表現しています。

ラストオーダー3分前の全力疾走

13時25分、経営コンサルタントの津名久ハナコはオフィス街を疾走していた。

お客様との面談が長引いてしまい、社長からランチに行ってこいと言われたものの、ハナコが狙っているお店の昼営業ラストオーダーまで、あとわずかしかないのだ。
近場で済ませる手もあったが、初志貫徹がモットーだ。妥協はしたくない。

「間に合った!」

息を切らせて老舗中華料理店「薫風」の扉を勢いよく開けた若い女性を、従業員が手を止めてまじまじと見つめる。
そんな様子にはまったく頓着せず、ハナコは鼻をひくつかせる。
これぞ、本格的な中華料理のスパイスの香り。

「薫風」は、学生時代から足しげく通っていた、地元で評判の老舗中華料理店だ。

「親父さん、ホイコーロー定食に、餃子と杏仁豆腐も付けてください!」

笑顔で注文し、ハナコは待ちに待った贅沢なランチタイムに気分が高揚する。
ラストオーダーぎりぎりの時間。店内にはハナコ一人だけだった。
薫風の店主である藤沢ジロウは、「おお、ハナコちゃんじゃないか。いつもありがとうな」と温かく迎えてくれた。

熟練の手際と、ジャスミン茶の罪悪感

熟練の店主の手際の良さは、見ていて気持ちが良いものだ。
あっという間に、できたての美味しそうな料理がハナコの目の前に並べられた。

ハナコはペロリと平らげると「さすが、美味しい!」と満足そうに呟く。
満腹感に包まれながら、お茶に手を伸ばした。
ジャスミン茶だ。
ダイエットをしていることを思い出し、オーバーカロリーの罪悪感を少しでもジャスミン茶が洗い流してくれることを願った。

ジャスミン茶を啜っていると、ジロウが厨房から声をかけてきた。

店主
ハナコちゃん、経営コンサルタントだったよな? ちょっと経営について聞いてみたいんだけど、いいかい?
ハナコ
もちろんです。経営コンサルタントとして活動していますから。親父さん、何か悩みがあるんですか?

「会社を譲りたいんだけど、やり方が分からない」

店主
このお店はもう株式会社になっているんだ。高齢だし、そろそろ従業員に引き継いでほしいんだけど、会社を譲る方法って何か分かるかい?
ハナコ
お店を従業員さんに引き継ぐんですね。おめでとうございます。信頼できる従業員さんがいらっしゃるんですね
店主
ありがとう。でも、具体的な方法がよくわからなくて。事業承継の勉強会に行っても、税金とか法律の話で難しいし、サッパリ分からないんだ。簡単に教えてくれないか?
ハナコ
会社を譲る場合、株式の譲渡が必要です。まずは、自社の株式に譲渡制限があるかどうかを確認しましょう。譲渡制限の規定は、定款や登記事項証明書に記載されていますよ
店主
なるほど、譲渡制限か。それがあると、どういう影響があるの?
ハナコ
譲渡制限がある場合、株主は会社の承認なしに株式を自由に売買できなくなります。これにより、会社にとって好ましくない人が株主になるのを防ぐことができるんです。中小企業では、多くの場合、株式に譲渡制限が設けられています
店主
それじゃあ、会社の承認が必要なんだね。じゃあ、承認なしに売買しても、効力はないってことか?
ハナコ
そうです。会社の承認なしに株式を売買しても、譲渡の効力は生じませんので、注意が必要ですよ

「俺が社長だから承認すれば、それでいいわけ?」

店主
なるほど、俺が社長だから承認すれば、それでいいわけ?
ハナコ
ここが大事なポイントです。会社の承認というのは、取締役会または株主総会の決議を指します。社長個人の決定ではありません
店主
えっ、そうなのか。社長が決めればいいと思ってたよ
ハナコ
よくある誤解なんです。取締役会設置会社であれば取締役会の決議、取締役会がない会社であれば株主総会の決議が必要になります。親父さんのお店がどちらに該当するかは、定款を確認すれば分かりますよ
店主
ありがとう。勉強になったよ。まずは、定款の確認と、会社の承認手続きからだね

次の面談まで、あと5分

気がつけば、ずいぶんと話し込んでいた。
ハナコが慌てて腕時計を見ると、時刻はもう15時を過ぎていた。

「あっ、次のお客様との面談まで、もうすぐ!」と慌てて声をあげるハナコ。「親父さん、お会計をお願いします!」

ジロウはニコッと笑って言った。「ハナコちゃん、急いでいるみたいだね。今日のランチは、勉強代として、サービスさせてもらうよ」

ハナコは感謝の笑顔で答えた。「親父さん、ありがとう。今度、先輩と一緒に飲みに来ますね!」

そう言って、颯爽とハナコはオフィスに戻っていった。
走りながら思う。ホイコーロー定食のカロリーは、この全力ダッシュで帳消しになっただろうか——。


まとめ:株式譲渡で押さえるべき2つのポイント

今回のショートストーリーでお伝えしたかったのは、
中小企業の株式譲渡における2つの重要ポイントです。

1

定款の「株式譲渡制限」を確認する

中小企業では、公開会社と比較して株式譲渡制限を設けている会社が大多数です。譲渡制限があることで、望ましくない第三者が株主になることを防いでいます。まずは自社の定款や登記事項証明書を確認しましょう。

2

株式譲渡には「会社の承認」が必要

承認は社長個人の判断ではなく、取締役会または株主総会の決議によって行われます。手続きを怠ると譲渡自体が無効になる可能性がありますので、正しい手順を踏むことが大切です。

株式譲渡の実務には、法的手続き・税務対策・株価算定など、
専門的な知識が求められます。

私たちの役割は、中小企業の伴走者として、各種専門家と連携しながら事業承継をサポートすること。
「何から手をつければいいか分からない」という段階からでも、お気軽にご相談ください。

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